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Channel: スポーツナビ+ タグ:田邉草民
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5ヶ月ぶりの味スタで目を奪われた左サイドの槍!

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「またお得意の指揮官再登板か…」 昨年末、城福浩氏がFC東京の監督に再び就任するとの報を聞いた時に率直に抱いた想いだ。城福氏の人となりについては何の疑いもなかったが、FC東京が目指すスタイルやステージに適任なのか考えるとどうなのだろう。その就任には当初から懐疑的だった。 はたしてその予感は早々に的中した。 -頂戦-(日本、そしてアジアの頂点に立つことを目指す) スローガンこそ立派だった2016年のシーズンだが、目の前で繰り広げられるサッカーは何がしたいのかがさっぱり分からない有様。「攻守で主導権を握る」なんて掲げながら、守から攻への切り換えがとにかく遅く、かといってポゼッションして攻めるわけでもなく、GOALの予感が漂わないサッカーは開幕時から観ていてつまらなくてしょうがなかった。 補強した新戦力もどうもイマイチっぽい。開幕から月イチぐらいで足を運んでいたが、どうにも希望が抱けそうにないので、5月の終わりのガンバ大阪戦を最後に、とうとう味スタに行くのを止めてしまった。というか行く気がなくなってしまった。以降もFC東京は浮上の兆しが見えず、遂には7月末に城福監督は解任。 この間、スタジアム自体から完全に足が遠のいていたわけではなく、6月にはキリンカップを観に吹田スタジアムへ行ってきた。 8月のお盆休みには俊輔目当てで三ツ沢へ足を運んだら、俊輔が欠場だった!なんてこともあった。。。(*_*)  お盆明けに数年ぶりに訪れたカシマスタジアムではスタジアムグルメを堪能しまくってきた(サッカーちゃうやんけ)。 コーチから昇格した篠田善之監督率いるFC東京については、時折、結果こそ気にしたものの、どーせ今シーズン終わるまでの暫定だろうし、サイアクJ2にさえ落ちなければいいや…ぐらいに思っていた。 ところが指揮官交代以降のチームが思いの外頑張りを見せている。ヴィッセル神戸と浦和レッズには大敗したものの、前節では鹿島アントラーズに何と!8年ぶりの勝利。 そうなると俄然!興味が沸いてくる。内容にも改善が見られるというし、それならば…と、ちょうど5ヶ月ぶりにホーム最終戦へ足を伸ばしてみることにした。 メンバーには幾分新鮮さを感じた。左SBは2ndステージ途中から室屋成が完全に定着しているようだ。中盤は大黒柱の米本拓司が8月の多摩川クラシコで負傷(今季絶望)して以降は田邉草民がその穴を埋め、トーキョーの⑩番こと梶山陽平がここ数試合ではコンビを組む形。 そして、恐らく最もHOT!な変化といえるのが、左サイドに中島翔哉が定着したことだろう。164cmと小柄ながら先のリオ五輪代表でも⑩番を背負ったサイドアタッカーは、今のチーム最大の希望だと考えていたが、そのプレーは当方の高い期待に違わぬものがあった。 一言でいえば“左サイドを突く槍”のような存在だった。一気にトップスピードに乗るスピードとテクニックを生かしたドリブルは、まさに相手ディフェンスにとっての驚異。何よりもどんどん仕掛けていくアグレッシヴな姿勢が素晴らしかった。これこそが数年来FC東京の攻めにおいて欠けていたものだった(入った頃の武藤にはそんな趣があったが、すぐいなくなってしまったしなぁ…)。 そういったタイプの選手がいなかった…といえばそれまでだが、この爽快感を醸し出せる疾風のごときプレーを見せられる選手といえば、マジで石川直宏以来ではないだろうか?? 例えば自陣GOAL前でボールを奪った際でも、中島に預ければ一気に加速して高い位置まで運んでくれる。彼に渡せば自然と守から攻への切り換えも速くなるのだ。チームとしてどこまで意識していたかは定かではないが、個の能力に止まらない効果をもたらしている気がした。 8月にカシマスタジアムで客観的に鹿島を観た折にも思ったが、やはり安定して上位に食い込むようなチーム(2ndステージは不調だけれど)は、プレー(特に攻撃)が非常にアグレッシヴだ。仕掛けられる選手は(対面に一人二人いても)どんどんチャレンジするし、パスで崩すにしてもその先にGOALへ向かう意図が感じられる。 ある意味衝撃だった。 というかFC東京主観で試合を観ていて、ここ数年感じることがなかった感覚だった。問題だったのはチーム構成かスタイルか補強か。それをこの場で論じるつもりはないが、攻撃の原点のようなものを改めて思い知らされた気がした(代表戦とかでも同じようなことを感じているはずだが、何故かFC東京にシンクロはさせられなかった)。 この中島と室屋で組む左サイドは、このゲームにおいては十分相手にとっての驚異と成り得ていたし、唯一のGOALもこのサイドの崩しから生まれたものだった。タッチライン際でのパス交換からボールを受けた中島が、中央の前田遼一に預けると加速して左エリア内へ侵入。ワンツーのリターンを胸で落とすと右アウトで軽く浮き球を送る。これを中央へ詰めてきていた水沼宏太がジャンプ一番!ヘッドを叩き付けてボールをGOALに押し込んだという形だった。 GOALを決めたのは水沼だが、中島のアグレッシヴな仕掛けがあったればこそというのは、観ている誰しもが思ったことだろう。城福政権下ではほとんど出場機会を得られなかった中島だが、2ndステージ10節の名古屋戦で交代出場からアディッショナルタイムに同点弾を決めると、以降はスタメンに定着。その6試合が4勝1分1敗と今季最高ともいえる期間を過ごせているのは、これまた間違いなく!中島起用の効果があったればこそだろう。 14分という早い時間帯での先制点は観ている側を一気に楽にしてくれた。時折、ベガルタ仙台の逆襲に遭い肝を冷やす場面もあったものの、概ね試合を優位に進めることができていたのではないだろうか。欲をいえば追加点が欲しかったし、実際それを得るチャンスも幾度かあったが、それをモノにするには至らず。まぁ、それをキッチリとモノにできるようであれば、中位あたりを年間通して彷徨っていることもないのだが…。 左サイドの活性化という点は、ぶっちゃけ中島という個の力に依るところが大きい。なので、他の選手が入ったとしたら果たしてどうなのだろう!?と思わなくもないが、チームとして篠田トーキョーは何が変わったかといえば、真っ先に目を惹いたのはピッチ全体での運動量だろう。 本気(で奪いに行く)度の高いプレスは以前とは明らかに一線を画すように映った。これまでも高い位置からプレスを掛けにいってはいたが、激しさという点においては、元来から競り合いにそんなに強いチームでもないだけに、いわゆる優勝を狙うようなチームの気合いの入ったそれに比べると、圧という点では見劣りするのが常だった(個人的にはそう映っていた)。 だが、この日は90分を通して豊富な運動量を保ち続け、高い位置からのファーストディフェンスからかなり圧のあるプレスを掛け続けていたように思う(走れる季節になったというのもあろうが)。 それは数字のうえでも表れている。スタメンのフィールドプレーヤー10人中、仙台で10km以上の走行距離を記録したのが5人だったのに対し、FC東京は何と!CBの2人以外の8人が10km以上を記録していた。 攻撃面でバイタル付近での突破や壁パスといった仕掛けに可能性が感じられたのも、相手を上回った運動量が鋭さを与えていたのではないだろうか。この差が勝敗の差に繋がった部分は間違いなくあると思う。 それが相手にペースを握らせなかったことにも繋がったと思うし、今さらながらではあるが、やっぱり現代サッカーでは走れないチームはタレントがいても勝ち続けることは難しい!というのを実感させられた数値だった。 もうすぐ今季のJ1も終わるが、来年はキャンプから鍛えに鍛えて、走りに走って、下手なスマート感なんぞかなぐり捨てて、シーズンを通してさらに“走りきれるチーム”になってほしい。 万年中位と呼ばれて久しいが、どだいそれなりに代表クラスの選手を抱え続けていて、上昇しきれないというのは、やっぱり才能以外の根本的な部分(メンタリティーなのか体力なのか)で何かが欠けているからなのだと思う。チームとして。個々人として。 この日、左サイドの槍となった中島に加えて、来季は期待の久保建英君がいよいよJ1でデビューしそうな気配もある。この二人が攻撃陣で居並ぶと考えたら、それだけでも期待感が増してきそうだ(久保君にはまだ過度の期待は禁物なのだろうが)。 とりあえず、ピッチ上で繰り広げられるプレーを観たうえで、最後にそんな想いを馳せた2016年ホーム最終戦だった。 最後に、今季で川崎フロンターレとの契約が切れる大久保嘉人の獲得に動くことがまことしやかに囁かれているが、個人的には獲らなくても良いのではないかと思う。前田遼一こそそこそこやっているが、ベテラン系のFWを獲ってあんまり活躍したのを観たことがない…という印象が強いからなのだが、FC東京のスタイル的にも合うのかどうか…。川崎でGOALを量産していたような爆発力は発揮できないように思えてならない。

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